溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。(漫画シナリオ版)
(ねぇ凪)

訴えるように,凪を見つめる。

(少しでも考える素振りを見せてくれた方が,誠実だと思ったのは,私の間違い?)

(他人の決めた婚約を,そんなにあっさり受け入れているのはなんで?)

(凪は私に何も求めない。それって,凪は誰でも変わらないって思ってるの?)



真理の横を走り抜けていく2人の子供。

男女の小学生が競うように並んで走っている。

凪を見上げ後ろを歩く真理と,優しく待つ凪。

真理がそんな自分の頃と重ねる。

くしゃりと顔を歪める真理。


(好きなんて嘘っぱち)

(そんな人と結婚なんて,出来ない)

(凪のそんな言葉,聞きたくない)



「あーぁ。もう着いちゃうね。今日がお休みだったらもっと真理といれたのに…」



近くに見える学校。

凪が名残惜しそうな声を出す。

(またすぐ会うのに)

きゅんと鳴る胸を押さえる真理。

凪に引き寄せられる。

凪の後ろに,大きな木の影を見る真理。

凪は全身を使って真理を抱き締める。

余すことなく密着して,真理の首には彼凪の首が絡まる。

息が耳にかかるのを感じた真理。



「ちゃんと,待っててね。迎えに行くまで」



凪が囁いて,身じろぐ真理を一層強く抱き締める。



「大好きだよ,真理。僕も待ってるから」


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