溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。(漫画シナリオ版)
⚪学校·自分のクラス(昼)


(友達がいない)


ポツンとお弁当を広げる真理。

目の前に,タコさんウィンナー。



(困りはしないけど,お昼は少し寂しいな……)



賑やかな声と足音に,真理が顔を上げる。

走り回る内の1人が,真理にぶつかる。



「うわっ……あ,ごめん!!」



ぶつかったクラスメートが,真理に手を合わせる。



「ううん,大丈夫」



首を振る真理。

(名字,なんだっけ。名前は,千夏。そう呼ばれてる)

真理がいきなり名前で呼ぶ事を躊躇する。

千夏が満面の笑みを真理に向ける。

視線をそらし,言い淀む真理。

その間に,千夏は行ってしまう。

お弁当に目を落とし,冷凍のミニハンバーグを頬張る真理。

お母さんがケチャップを付けてくれている様子を想像しながら,美味しいと思う。

突然,真理のお弁当が陰る。

見開いた目で見上げる真理。

その先に,千夏。

用件が分からず,固まる。



「美味しそー! あ,これ。前に置いてあったよ」

「あ,ありがとう……」


前日に回収された,数学のノートに気付く真理。

そこには自分のフルネーム。

御礼を言ったそのまま,ノートを受け取る。

(……私には,友達がいない)





⚪学校·校門前(放課後)

過ぎていく人を横目に,佇む真理。

数分待つ。

いつも通り駆けて来る凪。

沢山の,女の子を引き連れている。

(皆,年上)

凪を囲む,真理の先輩兼凪の同級生。

(疎外感? 劣等感? 喉がざらざらする。胸が,ざわざわする)

目をそらす真理。

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