恋のウイルス溺愛不可避


「でもうちのクラス、リア充しかいないからさ、心配で」

「たしかにね……」


そうなのだ。

ラブウイルスが流行りだしてからというもの、世間ではみるみるうちに高校生のカップルが増えた。

感染したくないって理由はもちろん、

他のだれかにとられたくないと、両片想いだった人の背中を押し。

感染した場合も、そのままめでたくゴールインした人までいるらしい。

だから世間一般じゃ、むしろ喜ばしいウイルスだなんて囁かれてる。


「いいの?万が一かかっても」

「大丈夫!大丈夫!」


だって自分の気持ち押し殺してまで彼氏を作るって、相手にも失礼だし、作業みたいでなんか嫌だ。

自然に身を任せて、ありのまま。

自分が好きになった人の隣にいたい。

まあ、今のところはまったく予定はないけど。


「よかったら、誰か紹介し……」

「ありがとう!お気持ちだけ受け取っときます!」

「……」


にこっと笑った私にまだみんなは何か言いたげだったけれど、もうこの話は終わり!と手を叩いた。
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