恋のウイルス溺愛不可避
恋が始まる瞬間
放課後。
「んんー!」
よし!やっと帰れる!
今週はこのためにがんばったと言っても過言じゃない。
明日は本屋さんダッシュだから早く寝て。
無事ゲットした暁にはゴロゴロしながら読む!で、この甘いまなざしを向けられてるのは私……って、きゃーきゃー妄想しながら眠りにつきたい。
「バイバイほたる!」
「うん!また月曜日に〜」
「尊くんのこと、バッチリ目に記録してくるね!」
おう……本当に行くんだ。
案の定、明日は学校への立ち入りを一切禁止とされた。
でも、見たいって気持ちをあきらめられない子もいるみたいで、こっそり来ようって人もいるみたい。
でも気持ちは分かる。だって、こんなド田舎の高校に憧れてる人、推しが撮影に来ることなんか滅多にないもん。
「あっ、ほたるちゃーん!」
「雫先生!」
それから玄関へと歩いていたら、正面から保健の先生である、五十嵐雫(いがらし しずく)先生が歩いてきた。
「五十嵐先生さよなら〜!」
「はい、さようなら」
「今日もマジできれいだよな……」
「絶対スパダリな年上の男いそう……」
先生の隣を通り過ぎる男子たちはみんな、女神のように美しい先生に目を奪われている。
腰まで届くほど長い黒髪は艶々で、猫目を縁どる長いまつ毛に、潤った赤い唇。
極めつけは、口元のセクシーなほくろ。
Vネックのカットソーの上には白衣。
色気たっぷり。妖艶な雰囲気のめちゃくちゃ美人な先生だ。
男子からはもちろん、女子からも憧れの的で、私もその1人。
こんな大人のお姉さんになれたらなあって、いつも思う。