恋のウイルス溺愛不可避
対象は非リア充
「はぁ……」
ガタンゴトン。
朝の日差しが差し込む、気持ちのいい朝。
私、三澄(みすみ)ほたるは、揺れるバスの中で、一つため息をついた。
珍しいってよく言われる名前は、大好きなばあちゃんがつけてくれたもの。
1週間~2週間、夏限定で生きる蛍は、子孫を残すため、短い命を必死に生きる。
そんな蛍のように、どんなことも必死に一生懸命になれる子、暗闇を灯す蛍の光のように、周りに元気を与えられる子になりますようにって意味で。
おばあちゃんっ子だったから、去年亡くなったときはとっても悲しかったけれど、
『どんなことがあっても、前を向いて笑って。ほたるには笑顔が似合う』
その言葉を思い出して、落ち込んでも、前向きにポジティブに。
ペちっと頬を叩いて、鏡ににっこり笑いかける。
私負けない、がんばるからって。
でもそんな私がため息をついているのは、めちゃくちゃ良い意味で。