私と貴方の秘密の一年間

嫉妬彼女と勘違い教師

「それじゃ、朝のHR始めるからおめぇら全員黙れ」

 教卓には、私の担任である九頭霧幸大(くずきりこうだい)先生。
 片手には出席簿を持って、マスクを着け気だるげに呼びかけてる。

 そんなだから生徒に舐められるんですよ、もっとしっかりとしたお声で言ってみてください絶対にかっこいいから。

「せんせー、また校長先生に怒られたのって本当ですかぁ?」
「そう思うなら、お前らが俺の給料を元に戻しやがれ。信じているぞおめぇら」
「私達悪くないから嫌です」
「舐め腐ってんな」
「教師の発言じゃないと思います―」

 笑い声が響く教室。端から見たら普通なんだろうなぁ。
 このように生徒と普通に話している先生。今、何を考えているんだろう。この教室でも出来る自殺方法でも考えているのかな。さすがにそれはないかな。

 ……………………先生が他の人と話しているのを見るのは、少し苦しい。でも、教師だから仕方がないし、私以外の生徒を大事にするのは当然だ。
 そもそも、私達の関係は他の人に言えるものではないし、先生の気持ちを全無視な関係だからなぁ、今の私達。

 そう考えると、本当に今先生は何を考えているんだろう。

「あた!!」
「さっきから名前を呼んでいるんだが? 俺の声より大事な事を考えていたらしいな。今日の放課後、音楽準備室に来い」
「えっ」
「返事」
「はい…………」

 そのまま教卓に戻って行く先生。もしかして、これは!!

 放課後デートのお誘い!!!!!
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