私と貴方の秘密の一年間

暴力彼女と阿呆教師

 今、私の隣に座っている教師、九頭霧幸大(くずぎりこうだい)先生は、なぜか百面相を浮かべながら卵とにらめっこをしている。

「先生、これってエッグペイントと呼ばれている物でしたっけ」
「そうだ。これぐらいしか気軽に出来るものがなかったんでな」
「なるほど。でも、なぜいきなり?」
「気分」
「なるほどわからんです」

 まぁ、先生の家に来る事が出来たので、そこはいいんですけどね。なんか、すごくいい匂いがする感じがします。先生ってアロマとか使うんかな。

「あまり部屋の中を見渡すなよ。もしかすっと見たくない物まで見てしまう可能性があるぞ」
「え、見たくない物って例えばなんですか」
「……………………今まで自殺に使えるかなって思って買って、結局失敗に終わって今では置物になっている物達――とか」
「それは、確かに見たくないですね」
「だろ? 俺も虚しくなるから押し入れに封印中」
「際ですか…………」

 虚しくなるって、それはどういう所から来る虚しさ何ですか。もしかして、死ねなくて残念とかから来る虚しさですか? それなら虚しくなる必要ないと思うのですけど。
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