私と貴方の秘密の一年間
彼女と出会い

失恋彼女と感動教師

 彼女との出会い、それは突然だった。

 入学式の日、俺は炭を燃やし一酸化炭素中毒自殺をしようとしていたんだけど、途中で校長から鬼電。遮らなくてはならなくなった。
 俺の自殺(生きがい)を邪魔するなんて、校長でも許さっ――駄目だ。これ以上減給されれば家賃とかが払えなくなる可能性。まぁ、そこまでお金に困っている訳じゃないけど、自殺に使う薬とか炭とか。ひとまず、生きがいを堪能するのに金がかかる。

 はぁ、めんどくさいけど、入学式には出ないといけない。そういえば、今年から俺、初めての担任なんだっけ。めんどくさいなぁ、音楽担当だけでもめんどくさいのに。

 桜並木の下を歩けば学校はすぐそこ。周りには、友人やカップルで楽しみながら通学している生徒達。

「あ、クズせんせーい!! おはようございます」
「誰がクズ先生だ」
「先生、なんか炭臭くない?」
「さっきまで炭を燃やしていたからな」
「へぇ、朝から焼肉? 先生意外な趣味持ってるね」
「んなわけねぇだろ。おら、さっさと行け。遅刻するぞ」
「先生も遅刻しないようにね!! また減給されるよ!!」
「やめろ」

 まったく、教師を舐め腐りやがって。もう少し威厳を意識しなければ。…………俺が? 無理だな、今年も今まで通り適当に自殺しながら頑張ろうか。

 あ? あれって、新入生か? 桜の木の下で、誰かを見てる。

 あの生徒の前には、一人の男子生徒。女子生徒と一緒に通学しているな、カップルか? なんでそいつを見ているんだ。

 さりげなく横を通り抜けようとしたんだが、何故か、本当になぜか。足を止めてしまいそうになった。いや、止めてしまった。
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