私と貴方の秘密の一年間

 桜並木、風で桜の花びらが舞い踊る。見惚れてしまいそうな光景に、一つだけ違和感のある人物。

 桜の花びらが隠してしまったのかという程、先生がピンク色に。木と木の間で横になって私を見上げてくる。

「いつからそこに?」
「いつからかここに」
「え? もしかして、新しい自殺ですか?」
「いや、これは違う」

 あ、起き上がった。しっかりと荷物を持っているという事は、通勤途中だったのかな。でも、通勤途中で何で木と木の間に挟まって倒れる事に? 

「あぁ、腰痛い」
「こんな所で横になっていたら当然ですよ。ところで、いい加減に話してください。何であんな所で寝ていたんですか」
「いやぁ、久しぶりに薬飲んで寝たらさ。起きても頭がぼぉっとして。いつの間にか二度寝」
「あそこで!?」
「え、うん」

 あり得るのか? いや、そもそもなんで周りの人は先生を無視して通学しているんだ? あんな所で人が寝ていたら普通気づくだろ、何故道行く人は誰一人として気づかないんだ。

「花びらと言えど、温かかったなぁ」
「埋まってましたもんねぇ…………あ」
「ん?」

 花びらに埋まっていた先生。今の季節、花びらが至る所に落ちている。掃除した人が一か所に集めていたりもするから、花びらの山とかもある。だから、先生にも気づかなかったのか。
 先生、まっピンクになっていたもんね。あれは意識しないと気づかないかも。私も呼ばれるまで気づかなかったし。

「そういえば、金糸雀美鈴」
「はい」
「あともう少しで健康診断みたいだが、大丈夫か?」
「なんの心配でしょうか…………」
「体重。ふとっ――」


 ――――ゴンッ!!!

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