私と貴方の秘密の一年間
「私、食べても太らない体質なんですよね。だから、そこまで体重とかは気にした事がないです」
「そ、そうか…………」
「置いて行きますよ?」
「お前が俺の背中を蹴ったからこうなっているんだけどな…………ごほっ」
「そんなに強く蹴っていないと思うのですが、大丈夫ですか?」
「いいか、金糸雀美鈴。人は年を重ねる事により、体は弱まり、か弱くなっていくんだ。お前が思っているほど大人は強くはない」
「つまり老化ですね。どんな先生でも私は愛しつくせますので、安心してください」
「なら、まず大事に扱ってくれ」
「今のは先生が悪いです」
今だ膝を付いている先生。クリンヒットしてしまったのかぁ、どうしよう。
「先生、ほら、行きましょう?」
「…………はぁ、まぁいいけど」
手を差し伸べると、先生はしっかりと掴んでくれた。
立ち上がり、繋いだまま歩き始める。先生はまだ腰を摩っている…………そんなに痛かったのかな。なんか、ごめんなさい、私悪くないと思うけど…………。
「教師には健康診断はないんですか?」
「……………………ナイ」
「ありますね。それは生徒とは別にって事ですか?」
「お前って俺の言葉疑い過ぎじゃない? 好きな人の言葉は信じろよ」
「好きだからこそ、先生の癖や口調。行動などがわかって、嘘をついていると察する事が出来るんです。まぁ、わかりやすいだけですが、先生の場合」
「…………フーン、わかりやすい…………ねぇ」
え、なんか楽しそうに笑ってる。今はマスクしているから前髪で見え隠れしている目でしか判断は出来ないけど。
なんか、企んでそう。時々、先生が何を考えているのかわからない時もあるけど、あえてそれは言わない。
なんでもわかっているよという雰囲気を出しておいた方が、素敵な彼女感出るし。
「というか、健康診断。先生の方が不安な気はしますが、大丈夫なんですか?」
「大丈夫だよ。健康診断が近い時は自殺しないように、煙草で気を紛らわせているから。肝臓で引っかかるだけ」
「大丈夫じゃないですね」
「あと、精神科もオススメされる」
「先生の思考、すべてが自殺に繋がっていそうですもんね。そりゃ、普通ならおすすめされますよ」
「精神科って苦手なんだよなぁ」
「え、そうなんですか? 話を聞いてもらって、薬を出して下さるだけでしょう」
「なんで内容知っているの?」
「……………………」
口が滑りました、さぁどうしましょう。
「あー…………。まぁ、生きていると色々あるもんな。気にするな金糸雀美鈴」
「こういう時は頭を撫でるだけではなく、抱きしめるのが彼氏のやる事ですよ」
「まったく問題ないのがわかったからもういいわ」
あ、私を置いて行こうとする!!! って、歩くのはやっ!?
「待ってくださいよ、先生!!!!」