俺が、好きになっちゃダメ?
「雫! お待たせー」
「夏芽、入って入って」
土曜日になり、ゲーム機の準備をしているときに、夏芽が呼び鈴を鳴らしてくれた。
「一応ゲームの用意もしてる途中だけど、先におやつ食べちゃおうよ!」
「あぁ、おやつも用意してくれてあるの?」
目を見開いた夏芽に、わたしは指先に口元を添えて、ニコッと笑ってから言ってみせた。
「実はね、お母さんに話したらわたしと夏芽の分のフルーツタルトを作り置きしてくれてたんだ!」
「え!? フルーツタルト! やったぁ!」
わたしの言葉を聞いた夏芽は、ジャンプしながら喜んだ。
フルーツタルトは、お母さんの得意料理のひとつで、わたしも大好き。
わたしは、足を弾ませながら冷蔵庫から二つのタルトを取り出して、紅茶も用意する。