俺が、好きになっちゃダメ?
「ねえ、雫」
散々、ゲームをして勝ったり負けたりで笑ったり叫んだりした後、疲れて一緒に仰向けになると夏芽が口を開いた。
「ん?」
「修学旅行なんだけどさ」
「えっ!?」
思いもよらない発言に、わたしは少しびっくりしてしまった。
「ん? もうすぐじゃん」
「ああ、そうだったかー」
そうだ、思い出した。
なんだか、ぼーっとしすぎたあまり忘れていた。
あとちょっとで、荷造りをしないといけないんだな。
確か、高2の秋と冬の境目あたりに決めたんだっけ。
わたしは正直どこでも良かったけど、最終的に多数決で1番人気だった沖縄ということに決まり、みんなは大喜びしていたことを思い出した。
「雫、沖縄行ったことある?」
「ううん」
「わたしもない」
窓の外にある太陽が動いて、光が直撃してくる。
眩しくて、思わず目を閉じた。
「メンバーは誰だっけ」
「わたしと夏芽とー、明日香ちゃんと、鮎川くん。後、木嶋くん!」
……なんでだろ。
なんで最初だけ、木嶋くんだけ少し声が大きくなったんだろう。
それとも、気のせいかな?