俺が、好きになっちゃダメ?
わたし達は、飛行機を降りた。
窓で見た時よりも、ずっと鮮明に見える海が眩しい。
「雫ちゃーん、1回こっちでグループごとに集まるんだよー!」
可愛い声が、わたしに対してこう言ったようだ。
同じグループの、百瀬 明日香ちゃんだった。隣に寄り添うように立っているのは、鮎川 昴くん。
百瀬 明日香ちゃんは、クラスで1番かわいいと言われている女の子で、鮎川 昴くんは、成績優秀の男子。
明日香ちゃんと鮎川くんは、1年生のクリスマスから恋人関係となっていて、それが発覚した直後は『ビッグカップル誕生!』なんて学校中でニュースになったんだっけ。
鮎川くんや明日香ちゃんには、隠れファンクラブはあったようで、みんなは『悔しいけどお似合いのカップルだ』とあっさり諦めたようだった。
鮎川くんと明日香ちゃんの近くに、夏芽と木嶋くんの姿もあった。
「ほら、雫! 何してんのー? はやくこっちおいでよー」
夏芽も明日香ちゃんと一緒に、わたしに向かって手を振っている。
「今行くー!」
わたしは、夏芽達のそばへ合流した。