俺が、好きになっちゃダメ?
わたし達2年生は、旅館に到着した。
部屋は2人部屋を希望し、わたしは夏芽と一緒。
「すっごい絶景だねぇー」
「ほんとほんと!」
わたしと夏芽は、ベッドに乗って、窓の外の海を見た。
「あっ」
海のそばの砂の上で、小さな体で走っている、2人の姿を見つけた。
服的に、1人の子はかわいいピンク色の服でスカートを履いているので女の子。もう1人の子がショートカットでズボンを履いているから、男の子かもしれないし、ボーイッシュな見た目をした女の子かもしれない。
ついつい、目を追ってしまう。
まあ、ここだったら本人にバレることはないだろうからいいか。
「雫は海の思い出がたくさんあるんだよね」
横から、夏芽の声がした。
「……うん」
この、エメラルドグリーンの海じゃなくて、地元の瑠璃色の海なんだけど、玲との思い出はたくさん詰まっている。
近くにあるお店で、タピオカを買って一緒に飲んだりもしたし、自転車を漕いで、海の近くまで走ったりもした。