俺が、好きになっちゃダメ?
夜ご飯の時間がやってきた。
わたしはタコスを食べ、隣では明日香ちゃんがゴーヤチャンプルを食べている。
「ゴーヤチャンプルいけるよ。沖縄そば、ちょっとちょーだい」
明日香ちゃんは、自分の向かい側で沖縄そばを食べている鮎川くんに話しかけた。
「俺、ゴーヤ嫌いなんだよなー」
鮎川くんは、ちょっと嫌そうな顔でゴーヤチャンプルを見つめた。
「あたしもゴーヤ単品は好きじゃないんだけど、これは食べれるから!」
「マジで!?」
「ん! うめーじゃん」
明日香ちゃんと鮎川くんは、楽しそうに自分たちが食べているものをシェアしている。
その様子を見て、わたしの胸にツキンと痛みが一瞬だけ食い込んだ。
それが分かるような表情は出さないようにしている……つもりだったんだけど。
「雫ー、わたしにタコスちょうだい!」
どうやら、夏芽にはバレていたみたい。
「はい!」
わたしは、タコスを夏芽のラフテーと交換した。
でも、いいんだ。
苦しいけれど、夏芽がそばにいてくれるから。