俺が、好きになっちゃダメ?
翌朝。
メンバーと一緒に、首里城公園の付近を歩いているところだった。
他校生の人らしき2人が、少し離れた場所を歩いているのが見えた。
「あいつ、名前なんだったっけ?」
本当に他校生だろうか。高校生にしては、背が高い男女。
かなり仲良さげなので、周りからはカップルと思われてもおかしくないかもしれない。
「久遠寺 玲でしょ?」
……くおんじ、れい?
待って。
今のは聞き間違い?
それとも、同姓同名?
「次は誰をあんなことするかー」
誰をあんなことって、どういうこと?
「ちょっとすいません」
わたしは、気がつけばその2人のことに声をかけていた。
「久遠寺 玲って、もしかして亡くなった人のことですか?」
「ああ、そうだけど」
「えっと……」
どうして、ここまで来たというのに言葉が出てこないんだろう。
「ところで、お前は一体誰なの?」
……そりゃそうも言われるよね。
「あの久遠寺の知り合いかなんか?」
「あのっ、わたし……」
頷いてから、わたしは口ごもってしまった。
……なにやってんだろう、わたし。
「あぁー、分かった」
名乗ろうとしたけれど、なぜか遮られた。
「分かった、あんたの名前。雫でしょ?」