俺が、好きになっちゃダメ?
ドキリとした。
わたしはこの2人の名前を知らないのに、向こうはわたしの名前を知っているだなんて。
「マリナ、どういうこと?」
「イオリ、覚えてないの? あいつ言ってたじゃん。遠距離恋愛の雫って名前の彼女がいるって」
「言ってたような、言ってないような……」
男の子がそう言いながら首を傾げたと同時に、わたしは、眉をきゅっと眉間に寄せた。
「はい。毛利 雫、です」
「あぁ、やっぱり!」
「そっか、あんたが久遠寺と付き合ってたんだ、でも実際あんたもこうなってせいせいしたんじゃない?」
「あいつはねー、マジとろくさくてさー」
「確かに、あんたの彼氏殺したっていうことだけ切り取ったら、悪いことしちゃったなあって思ったけどさぁ」
「あいつは、さすがにねー」
「あんたも、新しい彼氏作ったほうがいいって!」
「そ! 形あるものはいつかなくなる、人だっていつか死ぬからね」
黙って聞いていれば好き放題に言っている2人を見て、わたしの心の中からふつふつと怒りが噴き出てきた。
負けない、負けたくない。
負けるな、わたし。
氷を叩き割るように、わたしは歯向かって行った。
「人1人の命を奪っといて、なんであんた達はそんなのうのうと生きてられんの!?」
「……は?」