俺が、好きになっちゃダメ?

圭志side


ぎょっとした。


というのも、これは修学旅行の話。


俺と同じクラスの、毛利 雫のこと。


毛利は静かで優しく、真面目な性格で成績もいいほうで、基本親友である梅本 夏芽といつも一緒にいる。



『うるさい!! いいから返して! 返して!! 返してよ玲を! この人殺し!!』



そんな毛利がいきなり、見ず知らずの他校生に向かって、怒鳴り散らしていたからだ。

その時の毛利は、目から涙を流していて、眉は吊り上がっていて、口元はひどく歪んでいた。


ビー玉のような綺麗な瞳をしていて、玉のような肌で黒くて長い、サラサラの髪の毛をいつも揺らしている毛利。

いつも穏やかな話し方をする毛利とは、まるで別人のようだった。


修学旅行の時に、あんな毛利を見るだなんて夢にも思わなかった。


毛利が怒るって、相当のことだろう。けれど、他校生と一体何があったんだ?
それに、レイっていうのは誰のことなんだ?

何より、最後のセリフ。
毛利は、何度もその言葉を繰り返していた。

人殺し。


どういう事だ?


もし、毛利の言っていることが正しいのはあの他校生達は、一体誰をどう殺したというんだ?




< 34 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop