俺が、好きになっちゃダメ?
圭志side
ぎょっとした。
というのも、これは修学旅行の話。
俺と同じクラスの、毛利 雫のこと。
毛利は静かで優しく、真面目な性格で成績もいいほうで、基本親友である梅本 夏芽といつも一緒にいる。
『うるさい!! いいから返して! 返して!! 返してよ玲を! この人殺し!!』
そんな毛利がいきなり、見ず知らずの他校生に向かって、怒鳴り散らしていたからだ。
その時の毛利は、目から涙を流していて、眉は吊り上がっていて、口元はひどく歪んでいた。
ビー玉のような綺麗な瞳をしていて、玉のような肌で黒くて長い、サラサラの髪の毛をいつも揺らしている毛利。
いつも穏やかな話し方をする毛利とは、まるで別人のようだった。
修学旅行の時に、あんな毛利を見るだなんて夢にも思わなかった。
毛利が怒るって、相当のことだろう。けれど、他校生と一体何があったんだ?
それに、レイっていうのは誰のことなんだ?
何より、最後のセリフ。
毛利は、何度もその言葉を繰り返していた。
人殺し。
どういう事だ?
もし、毛利の言っていることが正しいのはあの他校生達は、一体誰をどう殺したというんだ?