俺が、好きになっちゃダメ?
『あの人達はね……昔、わたしの彼氏を死に追いやった人達なの』
「……え?」
毛利が小学生の頃に、彼氏がいたなんて知らなかった。
いや、そもそも俺と毛利は高校で出会ったから俺が小学生の頃は、毛利の存在すら知らなかったけど。
聞けば、レイというのは毛利が数年前に付き合っていた彼氏の名前。
そのレイという名前の彼氏は、小学校卒業と同時に引っ越し、毛利とは遠距離恋愛に。
レイは、引っ越し先の中学で過度のいじめに遭い、自ら命を絶ってしまったということだった。
俺は、衝撃を受けた。
だって俺の知っている毛利は、物静かで優しくて、柔らかい微笑みを浮かべていて。
そんな毛利に、そんな壮絶な過去があったなんて。
毛利は重い話だとは言っていたし、知り合いなんだろうなとは思っていたけれど、まさかここまで想像を絶するものだとは思わなかった。