俺が、好きになっちゃダメ?
第3章
雫side
夏休みが始まった。
今日は近くで、毎年恒例の花火大会があるということで、わたしも浴衣を着て見に行ってみることにした。
浴衣は、白の生地に紫色の花模様。紫のリボンが後ろについたデザイン。
去年買ってもらったもので、大人可愛いデザイン。
今まで着ていた浴衣で、1番好きなものかもしれない。
会場へ行ってみると、すでに屋台には人が集まっていて、どこもかしこも黒山の人だかりだった。
りんご飴、たこ焼き、綿菓子の屋台があって、買った人の手に握られているところを見ているだけでも美味しそう。
だけど、わたしには何より買わずにいられないものがある。
「ラムネいかがですかー?」
近くで、ラムネの屋台を見つけ、その屋根の下でそういった声が聞こえた。
わたしも、ラムネは冷たくて大好きで、夏になるといつも飲みたくなっちゃう。
当然、ここでお祭りが開かれた時は毎年買ってはすぐに飲んでいるんだ。
「ラムネ1本くださーい!」
わたしは、その屋台に駆けていってはその一言をつげた。
「1本お願いしまーす」
そう言った、男の子とわたしの肩がぶつかってしまった。
「すみませっ……」
すかさず、わたしはその男の子に謝りながら顔を上げる。
「え?」
彼の顔を確認してから、わたしの口からは変な声が出た。