俺が、好きになっちゃダメ?

「あっ、雫ちゃん! 夏芽ちゃんも!」



「よう、2人とも」



ヨーヨーの場所に近づくと、二つの声がわたし達を呼んだ。


そこにいたのは、明日香ちゃんと鮎川くんだった。
2人は屈んでいて、手にはヨーヨーを持っている。鮎川くんの手には、黒い水風船に黄色と水色の線。明日香ちゃんが持っているのは、パステルピンクの水風船にオレンジと白の線が描かれていた。


おまけに明日香ちゃんも浴衣を着ていて、黄色い生地にピンクや赤の花柄の明るくて可愛いデザインだった。



「2人もヨーヨー釣りやってたんだ!」



「そうそう! 2人で競ってたんだけど、結局昴に負けちゃったよぉ」



わたしの言葉に、明日香ちゃんが悔しそうに笑った。



「明日香は、ドジっ子でいっつも手ぇ滑らせて落としたりするからなぁ。そんな明日香が勝てるわけないって!」



「ひっどーい! そういうの、雫ちゃんや夏芽ちゃんのそばで言わなくていいじゃない! それにいつもじゃないしー!」



鮎川くんのからかいに、ぷくーっと頬を膨らます明日香ちゃん。



「そうかぁ? こないだもシャーペン落としたり、プリント落としたり、1年の頃なんてなー……」



「_____昴ちょっとストップー!」



「あれ? でも2人とも、1個しか持ってないみたいだけど……」



「もらえるのは、1個だけなんだってー」



夏芽の疑問に、明日香ちゃんが答えてくれた。



「2人もヨーヨー楽しんでねー。じゃあねー!」



2人は、もらった水風船をゆらゆらと揺らしながらどこかへ去っていった。




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