【短編】逆バレ。
あたしたちの場合
「お前んちで茶飲ませて」
「今、お母さんとばーちゃんがケンカしてんだよ」




アツシは前髪が風に煽られて、
おデコが全開になっている。




「普通、冬場にグラサンかけないよ……。オカシイだろそのセンス」
「風で目痛いだろ」
「じゃ、なんで海に呼ぶのよ、この寒いのに」

「話があったから」
「店でもいいじゃん」

あ、だめか。
お客さんいるだろうし。
なにより、いつもハイテンションで生きている、
アツシのお母さんと喋るのは疲れるし。

実家の蕎麦屋を手伝えばいいのに、
アツシが
『一度、都会に出たい、一人暮らししてみたい』
って言ってた気持ちもよく解る。
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