甘く、溶けるように。

「ぜんぶ、無駄だったのかなぁっ…?」



これ以上泣いたって意味ないと頭ではわかっていても、緩んでいる涙腺からぽたぽたと涙が落ちていく。



さっきまで甘いココアを飲んでいたはずなのに、口の中はしょっぱくなるばかり。



私、何やってるんだろ…。



せっかく芹沢くんが入れてくれたココアとか、優しさを無駄にして…。



自己嫌悪に陥りそうになったとき、ふわりと温かな何かに包まれた。



「大丈夫。誰も見てないから。思う存分泣いて」



まるで彼女に対する行動のように優しく抱き寄せて、耳元で囁かれた。

< 12 / 38 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop