甘く、溶けるように。
「約束、したじゃないですかぁ…」
寒空の下で、そんな呟きと共に零れた涙は、千桜の頬を伝っていく。
今日は12月25日。
現在時刻は7時を回っている。
本当なら今頃、先輩と並んでこの場所を歩き、洒落たレストランにでも入っている予定だった。
憧れの諏訪先輩と。
ついこの間友達にセッティングしてもらった合コンに行った時、たまたま中学時代の先輩とバッタリ遭遇したのが事の始まり。
サッカー部のマネージャーをしていた千桜は、サッカー部のエースである諏訪先輩のことが好きだった。