俺様御曹司のなすがまま、激愛に抱かれる~偽りの婚約者だったのに、甘く娶られました~
私が働くのは株式会社リッチモンド。都内近郊に複数の店を構える外食産業だ。入社してすぐに運営するチェーン店のカフェに配属され、先日やっと希望していた本社の企画部に異動になった。
今日の新郎の大淀慶(おおよどけい)とは同期入社だった。どちらが告白したとかいう事実もなく、気がつけばつき合っているような状態だった。
二十五歳からつき合い出して今年で四年。
そろそろ結婚という話が出るだろうかと思っていた矢先、彼に聞かされたのは他の人と結婚するというまさかの笑えない話だった。
しかもそれが後輩の吉野有紀(よしのゆき)だと知ったときには思わず「近場で何やってんの?」と心の中で毒づいた。
「まぁ、よくある話でしょ?」
私の問いかけに御杖さんは何も言わずに、小さく笑って見せる。
「ほんと最悪、お前は俺がいなくてもやっていけるだろって、そんなの当たり前じゃない。大人なんだから」
私は仕事が好きだ。自分の面倒は自分で見られるし、欲しいものも食べたいものも自分で手に入れることができる。それのどこが悪いのか。
少々興奮してしまった。少し落ち着こうと目の前のホワイト・レディを飲み干すと「おかわり」をバーテンダーに頼む。
「それだけならまだいいわよ。吉野ってば……」
二年後輩の有紀は、よく言えば要領がよく悪く言えば面倒ごとは徹底的に避ける仕事スタイルだった。
私も自分が他人にとやかく言えるほどできた人間じゃないのはわかっているので普段はスルーしてきたが、それでも何か問題になれば都度注意をしてきた。
そんな私をうるさく思っていた吉野さんは、慶との結婚が決まった途端わかりやすいマウント行為を取って来たのだ。
慶とののろけ話をわざと聞こえるようにしたり、三十手前で男に捨てられたとこそこそ私を揶揄したり。
その程度であれば我慢ができたが……結婚式の招待状を手渡ししてきた際に言われたひとことに怒りが頂点に達した。
「先輩の代わりに、可愛い花嫁になりますねって」
「あはは、それはやばいな」
それまで時折うなずくだけだった御杖さんも、さすがに驚きで黙っていられなかったようだ。救いなのは笑ってくれたこと。
かわいそうだなんて思われたくない。
思い出すだけでイライラする。
今日の新郎の大淀慶(おおよどけい)とは同期入社だった。どちらが告白したとかいう事実もなく、気がつけばつき合っているような状態だった。
二十五歳からつき合い出して今年で四年。
そろそろ結婚という話が出るだろうかと思っていた矢先、彼に聞かされたのは他の人と結婚するというまさかの笑えない話だった。
しかもそれが後輩の吉野有紀(よしのゆき)だと知ったときには思わず「近場で何やってんの?」と心の中で毒づいた。
「まぁ、よくある話でしょ?」
私の問いかけに御杖さんは何も言わずに、小さく笑って見せる。
「ほんと最悪、お前は俺がいなくてもやっていけるだろって、そんなの当たり前じゃない。大人なんだから」
私は仕事が好きだ。自分の面倒は自分で見られるし、欲しいものも食べたいものも自分で手に入れることができる。それのどこが悪いのか。
少々興奮してしまった。少し落ち着こうと目の前のホワイト・レディを飲み干すと「おかわり」をバーテンダーに頼む。
「それだけならまだいいわよ。吉野ってば……」
二年後輩の有紀は、よく言えば要領がよく悪く言えば面倒ごとは徹底的に避ける仕事スタイルだった。
私も自分が他人にとやかく言えるほどできた人間じゃないのはわかっているので普段はスルーしてきたが、それでも何か問題になれば都度注意をしてきた。
そんな私をうるさく思っていた吉野さんは、慶との結婚が決まった途端わかりやすいマウント行為を取って来たのだ。
慶とののろけ話をわざと聞こえるようにしたり、三十手前で男に捨てられたとこそこそ私を揶揄したり。
その程度であれば我慢ができたが……結婚式の招待状を手渡ししてきた際に言われたひとことに怒りが頂点に達した。
「先輩の代わりに、可愛い花嫁になりますねって」
「あはは、それはやばいな」
それまで時折うなずくだけだった御杖さんも、さすがに驚きで黙っていられなかったようだ。救いなのは笑ってくれたこと。
かわいそうだなんて思われたくない。
思い出すだけでイライラする。