お姫様達は王子様と永遠に
三月も終わりが近づき、安堂不動産、企画営業第一課は、決算月ということもあり、私達の業務は、多忙を極めていた。

ただでさえ、ピリついた事務所内を、更に緊張と息苦しさで張り詰めた空気にしている事を隣の王子様は、全く気づいていない。

(はぁ……困ったな)

何気なく、少し膨らんできたお腹を撫でれば、すぐ隣のデスクから、颯の掌が、伸びてくる。

「わ、(はやて)っ!仕事中だよっ」

「いいじゃん。お腹触るくらい。胸触ってる訳じゃあるまいし」

颯が、エイトイレブンに私を迎えに来てくれてから2か月以上経った。

私は、私生活も仕事も妊婦生活も充実してるのだが、困ったことに、最近、颯は私にベッタリだ。颯に連れ帰られて、数週間経った頃から、颯は、私のデスクの横に自分のデスクを増やし、副社長の仕事を私の隣でこなしている。

「副社長ー。てか颯先輩っ!公私混同しすぎでしょうが」

斜め前のデスクから、千歳(ちとせ)が、ワザと聞こえるように、大きなため息を吐き出した。
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