お姫様達は王子様と永遠に
「美弥?」
「野良猫、どしたのよ?」
「美弥ちゃん、大丈夫?」
皆の視線が、急に集まると共に、再び事務所へと颯が、戻ってきた。
「おい実花子、お前の好き……え?美弥どした?」
颯が、注目を浴びている私を見て駆け寄ってくる。
「あの……」
初めてのことで大きな声が出てしまったが、皆に注目を浴びてまで、話すことでもないことに気づき、私は恥ずかしくなる。
「顔赤いぞ、熱とかないよな?」
颯が、私の額に手を当てる。
「違うのっ……さっき、その、トンッて……」
「え?」
「は……初めて、お腹の赤ちゃんが蹴ったから……そのビックリして……」
颯が、目を丸くして、千歳達は、揃って、ため息を吐き出した。
「もう、野良猫!ビックリするじゃないっ」
「美弥ー、焦るじゃん」
「美弥ちゃん、赤ちゃん順調で良かったね」
私が、頷いて返事をしようと唇を開けば、颯が遮るように、事務所扉を指差した。
「美弥。胎教にちょうどいいな」
「颯?胎教?」
「ま、見てろ。もう来る」
颯が、唇を引き上げその時だった。
事務所内が、一斉に騒がしくなり、社員達の視線は、すぐに大歓声となる。