【受賞】幼妻は生真面目夫から愛されたい!
「いいえ、こうやって旦那様が無事に帰ってきてくださったことが、何よりもの贈り物です」
「そうか」
 クラークがオリビアの首元に顔を埋めた。
「旦那様? どうかされましたか?」
「いや……。君からそう言ってもらえたことが、自分でも思っていたより、嬉しかったようだ」
「遠征は、大変でしたか?」
「そうだな……」
 王国騎士団第三部隊が派遣されたのは、北にある公爵領である。大きな水害が発生し、山は崩れ、街は水に飲まれ、領地の八割が損害を被ったとのこと。クラークは団長という立場から、第三部隊と共に自ら赴いた。
「死者が出なかったことだけ、幸いだった……」
 それは、二年前の王都で起こった大火事からの教訓のようだ。
 半年も北の領地に行っていたのは、その領地の再建のためだ。そして、彼らの生活に必要な状態が整ったため、騎士団も王都に戻ってくることができたのである。
 騎士たちは、部隊単位で交代しながら北の領地に派遣されていたが、クラークは団長という立場があるため、半年もそこにいる必要があった。
「俺が不在の間、家のことをやってくれていたそうだな。助かった」
 それから、と彼が言葉を続ける。
「君にずっと言わなくてはならないと思っていたことがある」
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