【受賞】幼妻は生真面目夫から愛されたい!
 しばらくして、クラークが戻ってきた。肩からタオルをかけているが、少しだけ濡れているその髪が、彼の色気を引き立てている。
「濡れていますよ」
 立ち上がりクラークの肩にかかっているタオルを奪うと、オリビアは彼の髪の毛をゴシゴシと拭いた。
 有無を言わさぬ彼女の行動に驚いたのか、クラークはじっと目を開けてオリビアを見つめている。それでも少しだけ腰をかがめてくれたのは、拭いてもいいという、彼の気持ちの表れなのだろう。
(拒まれなかった)
 その事実に安堵する。
「終わりました」
「君も、少し濡れている」
 クラークの手が、オリビアのうなじに触れる。後れ毛から少し水滴が零れていることに、オリビアも気づいていた。
「このくらい、すぐに乾きます」
「だが……」
 いくつか零れた水滴が、着替えたばかりのまっさらなドレスの襟元を濡らしていた。
「俺のタオルで悪いが」
 そう言ってクラークは、オリビアの首元とドレスの襟元をタオルで触れた。
 パサリと、オリビアの結い上げていた髪が落ちる。
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