【受賞】幼妻は生真面目夫から愛されたい!
 凛とした姿勢を見せながらも、どこか危うさを感じる。
 そんな彼女は、結婚した今でも、たくさんの男から言い寄られているにちがいない。
 何しろ、彼女の結婚相手はクラークなのだから。
 あんな男より、俺の方がいいだろう、と誘ってくるような男がいるはずだ。
 クラークは湯につかりながら、ぐっと拳を握りしめた。
 先ほどまで抱き抱えていた彼女の身体は柔らかかった。年甲斐もなく反応した。それを悟られないようにと、体勢を整えていた。
 彼女には気づかれていないはずだ。
 十八歳。成人を迎えた彼女。
 とうとう彼女を解放するときがきたとも思う。
 だけど手放したくないとも思う。
 妻となった彼女を抱いていないのは、アトロとの約束があるからだ。彼から受けとった手紙に書いてあったからだ。
『オリビアのことを頼む。だが、成人まで手を出すなよ(笑)』
 かっこ笑いが、クラークの心を読んでいるようで恐ろしかった。アトロはクラークの心をまるっとお見通しなのだ。年甲斐もなく、彼女に片思いしていた気持ちまで。
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