【受賞】幼妻は生真面目夫から愛されたい!
 たゆたう意識の中で何かが動いて、はっとする。
「旦那様?」
 なぜか目の前にクラークの背があった。そしてベッドから降りようとしている。
「トイレに行くだけだ……」
 オリビアも誰かと寝たのは久しぶりである。そのため、彼が起き上がったタイミングで目が覚めてしまったのだ。
 彼の言葉にどう答えたら良いかがわからず、もう一度肩まで毛布をかぶり、横を向いた。
 絨毯の上を歩く彼の足音が、酷く寂しげに聞こえた。
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