【受賞】幼妻は生真面目夫から愛されたい!
6.生真面目夫の場合(2)
◆◆◆◆
「だから最後に。俺に思い出をくれないか? 先ほども言ったが、君と一緒に、出掛けたいんだ」
そう口にしたとき、彼女ははにかむようにして「はい」と答えてくれた。
最後の最後まで、情に厚い女性である。
(映画……。確か、ここ数年、隣国から入ってきた技術だな)
大きな幕に映し出される映像を見ると聞いたことはある。観劇みたいなものだと、部下たちが言っていたことを思い出す。
人気の演目は、事前にチケットを取っておいた方がいいとも、彼らは言っていた。
(彼女は、どのようなものが見たいのだろうか。人気の演目は何だろうか……。先ほど出てきた名前はポリー。カステル侯爵夫人だな。ジャンにでも聞いてみるか)
ジャンとはカステル侯爵のことだ。ようするにポリーの夫である。そしてクラークの部下でもあった。騎士団の第一部隊に所属している。
ちらりと隣に座るオリビアに視線を向けた。彼女は嬉しそうに顔をほころばせている。
(可愛い……。めちゃくちゃ可愛い。これは、何が何でもジャンに流行りの映画を聞かねばならないな)
あまりにもクラークがじっと見つめてしまったためか、オリビアもこちらに視線を向ける。
目が合った。
「だから最後に。俺に思い出をくれないか? 先ほども言ったが、君と一緒に、出掛けたいんだ」
そう口にしたとき、彼女ははにかむようにして「はい」と答えてくれた。
最後の最後まで、情に厚い女性である。
(映画……。確か、ここ数年、隣国から入ってきた技術だな)
大きな幕に映し出される映像を見ると聞いたことはある。観劇みたいなものだと、部下たちが言っていたことを思い出す。
人気の演目は、事前にチケットを取っておいた方がいいとも、彼らは言っていた。
(彼女は、どのようなものが見たいのだろうか。人気の演目は何だろうか……。先ほど出てきた名前はポリー。カステル侯爵夫人だな。ジャンにでも聞いてみるか)
ジャンとはカステル侯爵のことだ。ようするにポリーの夫である。そしてクラークの部下でもあった。騎士団の第一部隊に所属している。
ちらりと隣に座るオリビアに視線を向けた。彼女は嬉しそうに顔をほころばせている。
(可愛い……。めちゃくちゃ可愛い。これは、何が何でもジャンに流行りの映画を聞かねばならないな)
あまりにもクラークがじっと見つめてしまったためか、オリビアもこちらに視線を向ける。
目が合った。