【受賞】幼妻は生真面目夫から愛されたい！

　だらしなく口を開け、その口の中をオリビアに覗き込まれている状況。これから、行為に及ぶように見えるかもしれない。
　だからクラークは心の中のアトロに謝罪したのだ。
　クラークの目は泳いでしまう。真剣な眼差しのオリビアがすぐ側にいる。息もかかるくらいに近い。
　閉じることのできない口からは、唾液がこぼれそうになってしまう。
（ま、まずい……）
　クラークは心底焦った。口の端から漏れそうになる唾液に舌を這わせる。
「あっ……」
　オリビアからは小さな声が漏れた。
　それによって、今、何をしでかしたのかということを悟った。
（俺は今、オリビアの指を舐めてしまったのか？）
　だが、その指さえ甘いと感じてしまった。できることなら、彼女の頭を押さえつけて、その唇を奪いたいとさえ思っている。
　ぽっと頬を赤らめたオリビアは、慌てて手を引っ込めた。
「あの、火傷はされていないようです、多分。よく見えませんでしたが。ですが、すぐに冷たいお水を準備いたしますね」