【受賞】幼妻は生真面目夫から愛されたい!
 本当にオリビアをあの伯父から守るため。そして、アトロとの約束のためだったのだろう。
「クラークは、私が本当に好きな人と幸せになってもらいたいのですか?」
 いつもは旦那様と呼んでいたのに、つい、心の中で呼んでいた彼の名が口に出ていた。
「ああ。君の隣に、俺のような男は相応しくない。俺は君よりも十七も年上で、見た目もこんなんだ……」
「ですが。カトリーナ様とモーレン公爵は二十歳も年が離れております。それでもあそこは、私から見ても仲の良い羨ましい夫婦です。年齢差なんて、別れる原因になりません」
 カトリーナとモーレン公爵は、二十歳の年の差結婚で、当時の社交界を賑わせた。四十歳になっても結婚のけの字にも興味のなかったモーレン公爵が、カトリーナに一目ぼれしたことがきっかけだ。カトリーナ自身も、二十も年上の男性なんてと、最初は口にしていたが、モーレン公爵の心の広さと優しさに惹かれていき、その一年後には見事に結婚していた。
 それは結婚から四年経った今でも、二人の仲は変わっていない。第一子にも恵まれ、カトリーナの妖艶さは年々増している。
「だが……」
 オリビアの勢いに負けたのか、クラークが言い淀む。
「大事なことを聞き忘れていました」
 そこでオリビアはすぅっと息を吸う。
「もしかして。旦那様は、私のことが嫌いなのですか?」
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