【受賞】幼妻は生真面目夫から愛されたい!
 オリビアはその姿のままクラークに近づき、ソファの上に膝をついた。
(誰だ……。彼女にこのようなことを教え込んだのは。モーレン公爵夫人か。むしろ、モーレン公爵か)
 モーレン公爵は完全にとばっちりである。
「クラーク」
 いつもの無邪気な彼女とは思えないほどの、艶めかしい声色が囁く。
「私が好きなのは……」
 そこで彼女の指がクラークの唇をなぞった。
「クラーク……。あなたです」
 その言葉を聞いた途端、クラークは思わずオリビアの唇を奪っていた。
 彼を守っていた箍は全て外れてしまい、バラバラになってしまったのだ。
 息苦しそうに彼女に肩を叩かれて、我に返る。
「ク、クラーク……」
 頬を赤らめて名前を呼ばれたら、耐えられない。
「君は、俺が好きなのか? 俺の聞き間違えではないのか?」
「好きです。ですから、今の旦那様と離縁したら、私と結婚してもらえますか?」
 クラークは声にならない声を上げた。聞く者によっては雄叫びに聞こえたかもしれない。
「く、クラーク?」
「す、すまない。嬉しすぎて……」
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