【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました 1
ベッドへ
これ以上キスされるのが怖くなり、香澄は必死に佑から逃れようとする。
が、いつの間にか両腕でしっかり抱き締められ、力では敵わず逃げ場がなくなっていた。
「――ぁ、……はぁっ」
ようやく口が解放され、香澄はトロンとした顔で脱力する。
「……エロい顔……」
佑がそれまでの紳士的な対応はどこかへ、オスの本能とも言うべき言葉を呟いたが、香澄の意識はとろけきっていて彼の言葉を理解できないでいる。
ただ、赤面して呼吸を荒げるしかできない。
「……こんなにがっつく俺は、気持ち悪いか?」
尋ねられ、香澄は小さく首を横に振る。
(佑さんに向かって、『気持ち悪い』なんてあり得ない)
先ほどからずっと、彼のぬくもりや纏っている香り、衣服越しに感じる逞しい肉体にクラクラしている。
身長差がとてもあるとは思っていたが、実際に抱き締められたら佑の腕の中にすっぽり収まってしまう。
否が応でも男女差を感じてしまい、さらに今のキスによって彼が自分を求めてくれているのだと思い知る。
「……『香澄を抱きたいと思っている』……と、言ってもいいか?」
「…………もう、……言って、ます」
「……うん」
香澄の小さな突っ込みに、佑はクシャッと笑った。
「言葉だけ『好きだ』と言い続けても、どれだけの物をプレゼントしても、結局は一回のキスですべて伝わってしまう気がする」
「……はい」
何だかんだ言って避けてきたものに、香澄はいま圧倒されている。
「俺は香澄と恋人になりたい。形だけ同棲してよそよそしいままじゃなくて、ちゃんと触れあえる仲になりたい」
「……はい」
頬に触れる手が、熱い。
親指で唇をなぞられても、香澄はもう拒否する理由を失っていた。
一度受け入れてしまえば、こんなにも甘美なキスと愛される喜びが待っていた。
「キスをしてこんな事を言うのは卑怯だと分かっている。……でも、『嫌じゃないなら、一度受け入れてみる』というのも選択肢の一つだと思うんだ。何でも考えて迷うより、体験してみたほうが早い時もある」
下腹には佑の熱を感じ、抱き締められて彼の逞しい胸板に縋り付いている。
密着して佑の体温、香りを味わい、耳元には艶やかな低い声。
香澄はぼんやりとしたまま、御劔佑という男そのものに酔いしれていた。
(いいの……かな。確かに、付き合おうと言ってくれているんだし、佑さんをまず知らないと、恋人にもなれない)
佑に抱きついたまま、香澄は自分自身と話し合ってみる。
(私は……、佑さんに惹かれてる。彼に抱かれるのも、嫌じゃない。むしろ畏れ多い感じ。これだけ色々してもらってるのに、私は彼に何一つ返せていない。……抱かれて何かが減る訳じゃないし、無理矢理じゃないし。……いい、のかな。抱かれたら、私が自分で自分に掛けてるストッパーが外れて丁度いいのかも)
自分の中で佑に抱かれるための〝言い訳〟をし、決意を固めた香澄は頬を染めたまま、顔を上げて佑を見た。
「……どう?」
再度尋ねられ、香澄は震えながら頷いた。
「……し。…………て、…………みま、…………す」
「……うん、ありがとう」
微笑んだ佑は、チュッと音を立てて香澄の頬にキスをした。
「初めてが床とか、ソファだとあまりにお粗末だから、ちゃんと支度をしてベッドでしようか」
「……は、はい……」
改めて言われると、恥ずかしくて堪らない。
とりあえず香澄は佑の膝から下りて、立ち上がる。
それからようやく思いだした。
「……あ。……コーヒー……」
「ホントだ」
それまでの少し緊張した空気はどこかへ、二人は顔を見合わせて気が抜けた笑いを浮かべた。
**
その後、改めて香澄は自室のバスルームで念入りに体を洗った。
佑は彼の寝室の隣にバスルームがあるので、そちらにいるようだ。
(うう……。緊張する……)
何を着て彼の寝室に登場すればいいのか分からず、下着の引き出しを開け、クローゼットまで開いて悩み抜く。
結局、下着はベビーピンクの上下をつけ、寝間着にしているキャミソールとタップパンツ、その上に薄出のロングカーディガンを羽織った。
屋敷の中は静まりかえっていて、廊下を歩く自分の微かな足音にも緊張する。
前方には佑の寝室から漏れる明かりが見える。
部屋の前で何度か深呼吸してから、香澄は寝室を覗き込んだ。
「お……お待たせしました」
キングサイズのベッドには、すでに佑がいてヘッドボードにもたれ掛かり本を読んでいた。
(う……。胸板が……)
彼は上半身裸で、逞しい胸板や割れた腹筋などが丸見えだ。
「おいで」
そんな彼が羽根布団をめくり、ポンポンと自分の隣を示す。
香澄はギクシャクと、本人を目の前に足音をしのばせ、ベッドまで歩いた。
「……お邪魔します……」
恥ずかしくて佑の顔を見られないまま、香澄はベッドに膝を乗せ座る。
キングサイズベッドは、大人が並んで寝てもまだ余裕がある幅だ。
こんなに大きなベッドに触った事すらなく、香澄は途方に暮れる。
「明るいのは嫌?」
佑に尋ねられ、香澄は「はい」と頷く。
「真っ暗だと見えないし危ない。俺も視覚的に興奮できないし。だから、間接照明ぐらいで大丈夫?」
そう尋ね、佑は枕元にあるパネルを操作して照明を変えた。
壁の後ろから発光していた照明が落ち、部屋の壁際の足元の間接照明と、ベッドの下から漏れる微かな光だけになる。
丁度、お互いの体のシルエットが分かり、表情や体も認識できる程度だ。
かといって明るいと言うほどでもなく、実に丁度いい明るさだ。
「これぐらいで、大丈夫です」
返事をすると、頭を撫でられた。
そして抱き寄せられたかと思うとキスをされ、至近距離で尋ねられる。
「本当に大丈夫? これは最後の確認だ」
「……大丈夫、です。宜しくお願いします……」
ペコリと小さく頭を下げると、佑がフハッと笑ったのが分かった。
「ん、大切にするよ」
そのあと佑は香澄を優しく押し倒し、髪を手で梳いて左右に広げた。
「初対面の時から思っていたけど、香澄の髪ってまっすぐで綺麗だよな」
「ありがとうございます。親友からも直毛でいいなって言われますが、アレンジとかしにくい頑固な髪でして……」
「俺は香澄の髪、とても好きだよ」
佑はシーツの上に広がった香澄の髪を手で撫でつけ、それからまたキスをしてきた。
「ん……」
キスをしながら佑は香澄のカーディガンを脱がせ、ベッドの隅のほうに置く。
柔らかい唇にちゅ、ちゅ、と唇をついばまれて、先ほどリビングで味わった幸福感を思い出す。
キスを続けたまま、佑は手を香澄の背中に潜り込ませ、ぷつんとブラジャーのホックを外してきた。
その〝見ないでも手の感覚で外せる〟というのが、彼の慣れを感じて微妙な心地になる。
思わず佑の手首を握った香澄の反応に、彼は「ん?」と顔を上げた。
「……慣れて、ますよね? ……ぶ、ブラホック外しとか、手慣れてる……」
「あ。……いや、あぁ。……そう思われても仕方ないんだけど、仕事柄つい……」
「あ、そっか……」
彼が携わるのは服だけでなく、インナーウェアもある。
レースなどを使った、女性の体に注目した専門の分野は、今のところChief Everyにはない。
が、いつの間にか両腕でしっかり抱き締められ、力では敵わず逃げ場がなくなっていた。
「――ぁ、……はぁっ」
ようやく口が解放され、香澄はトロンとした顔で脱力する。
「……エロい顔……」
佑がそれまでの紳士的な対応はどこかへ、オスの本能とも言うべき言葉を呟いたが、香澄の意識はとろけきっていて彼の言葉を理解できないでいる。
ただ、赤面して呼吸を荒げるしかできない。
「……こんなにがっつく俺は、気持ち悪いか?」
尋ねられ、香澄は小さく首を横に振る。
(佑さんに向かって、『気持ち悪い』なんてあり得ない)
先ほどからずっと、彼のぬくもりや纏っている香り、衣服越しに感じる逞しい肉体にクラクラしている。
身長差がとてもあるとは思っていたが、実際に抱き締められたら佑の腕の中にすっぽり収まってしまう。
否が応でも男女差を感じてしまい、さらに今のキスによって彼が自分を求めてくれているのだと思い知る。
「……『香澄を抱きたいと思っている』……と、言ってもいいか?」
「…………もう、……言って、ます」
「……うん」
香澄の小さな突っ込みに、佑はクシャッと笑った。
「言葉だけ『好きだ』と言い続けても、どれだけの物をプレゼントしても、結局は一回のキスですべて伝わってしまう気がする」
「……はい」
何だかんだ言って避けてきたものに、香澄はいま圧倒されている。
「俺は香澄と恋人になりたい。形だけ同棲してよそよそしいままじゃなくて、ちゃんと触れあえる仲になりたい」
「……はい」
頬に触れる手が、熱い。
親指で唇をなぞられても、香澄はもう拒否する理由を失っていた。
一度受け入れてしまえば、こんなにも甘美なキスと愛される喜びが待っていた。
「キスをしてこんな事を言うのは卑怯だと分かっている。……でも、『嫌じゃないなら、一度受け入れてみる』というのも選択肢の一つだと思うんだ。何でも考えて迷うより、体験してみたほうが早い時もある」
下腹には佑の熱を感じ、抱き締められて彼の逞しい胸板に縋り付いている。
密着して佑の体温、香りを味わい、耳元には艶やかな低い声。
香澄はぼんやりとしたまま、御劔佑という男そのものに酔いしれていた。
(いいの……かな。確かに、付き合おうと言ってくれているんだし、佑さんをまず知らないと、恋人にもなれない)
佑に抱きついたまま、香澄は自分自身と話し合ってみる。
(私は……、佑さんに惹かれてる。彼に抱かれるのも、嫌じゃない。むしろ畏れ多い感じ。これだけ色々してもらってるのに、私は彼に何一つ返せていない。……抱かれて何かが減る訳じゃないし、無理矢理じゃないし。……いい、のかな。抱かれたら、私が自分で自分に掛けてるストッパーが外れて丁度いいのかも)
自分の中で佑に抱かれるための〝言い訳〟をし、決意を固めた香澄は頬を染めたまま、顔を上げて佑を見た。
「……どう?」
再度尋ねられ、香澄は震えながら頷いた。
「……し。…………て、…………みま、…………す」
「……うん、ありがとう」
微笑んだ佑は、チュッと音を立てて香澄の頬にキスをした。
「初めてが床とか、ソファだとあまりにお粗末だから、ちゃんと支度をしてベッドでしようか」
「……は、はい……」
改めて言われると、恥ずかしくて堪らない。
とりあえず香澄は佑の膝から下りて、立ち上がる。
それからようやく思いだした。
「……あ。……コーヒー……」
「ホントだ」
それまでの少し緊張した空気はどこかへ、二人は顔を見合わせて気が抜けた笑いを浮かべた。
**
その後、改めて香澄は自室のバスルームで念入りに体を洗った。
佑は彼の寝室の隣にバスルームがあるので、そちらにいるようだ。
(うう……。緊張する……)
何を着て彼の寝室に登場すればいいのか分からず、下着の引き出しを開け、クローゼットまで開いて悩み抜く。
結局、下着はベビーピンクの上下をつけ、寝間着にしているキャミソールとタップパンツ、その上に薄出のロングカーディガンを羽織った。
屋敷の中は静まりかえっていて、廊下を歩く自分の微かな足音にも緊張する。
前方には佑の寝室から漏れる明かりが見える。
部屋の前で何度か深呼吸してから、香澄は寝室を覗き込んだ。
「お……お待たせしました」
キングサイズのベッドには、すでに佑がいてヘッドボードにもたれ掛かり本を読んでいた。
(う……。胸板が……)
彼は上半身裸で、逞しい胸板や割れた腹筋などが丸見えだ。
「おいで」
そんな彼が羽根布団をめくり、ポンポンと自分の隣を示す。
香澄はギクシャクと、本人を目の前に足音をしのばせ、ベッドまで歩いた。
「……お邪魔します……」
恥ずかしくて佑の顔を見られないまま、香澄はベッドに膝を乗せ座る。
キングサイズベッドは、大人が並んで寝てもまだ余裕がある幅だ。
こんなに大きなベッドに触った事すらなく、香澄は途方に暮れる。
「明るいのは嫌?」
佑に尋ねられ、香澄は「はい」と頷く。
「真っ暗だと見えないし危ない。俺も視覚的に興奮できないし。だから、間接照明ぐらいで大丈夫?」
そう尋ね、佑は枕元にあるパネルを操作して照明を変えた。
壁の後ろから発光していた照明が落ち、部屋の壁際の足元の間接照明と、ベッドの下から漏れる微かな光だけになる。
丁度、お互いの体のシルエットが分かり、表情や体も認識できる程度だ。
かといって明るいと言うほどでもなく、実に丁度いい明るさだ。
「これぐらいで、大丈夫です」
返事をすると、頭を撫でられた。
そして抱き寄せられたかと思うとキスをされ、至近距離で尋ねられる。
「本当に大丈夫? これは最後の確認だ」
「……大丈夫、です。宜しくお願いします……」
ペコリと小さく頭を下げると、佑がフハッと笑ったのが分かった。
「ん、大切にするよ」
そのあと佑は香澄を優しく押し倒し、髪を手で梳いて左右に広げた。
「初対面の時から思っていたけど、香澄の髪ってまっすぐで綺麗だよな」
「ありがとうございます。親友からも直毛でいいなって言われますが、アレンジとかしにくい頑固な髪でして……」
「俺は香澄の髪、とても好きだよ」
佑はシーツの上に広がった香澄の髪を手で撫でつけ、それからまたキスをしてきた。
「ん……」
キスをしながら佑は香澄のカーディガンを脱がせ、ベッドの隅のほうに置く。
柔らかい唇にちゅ、ちゅ、と唇をついばまれて、先ほどリビングで味わった幸福感を思い出す。
キスを続けたまま、佑は手を香澄の背中に潜り込ませ、ぷつんとブラジャーのホックを外してきた。
その〝見ないでも手の感覚で外せる〟というのが、彼の慣れを感じて微妙な心地になる。
思わず佑の手首を握った香澄の反応に、彼は「ん?」と顔を上げた。
「……慣れて、ますよね? ……ぶ、ブラホック外しとか、手慣れてる……」
「あ。……いや、あぁ。……そう思われても仕方ないんだけど、仕事柄つい……」
「あ、そっか……」
彼が携わるのは服だけでなく、インナーウェアもある。
レースなどを使った、女性の体に注目した専門の分野は、今のところChief Everyにはない。