御曹司の幼なじみから甘すぎる求愛を受けました。
ていうかなに、ダメって…


いや、可愛すぎ…


「なんで、ダメなの?」


なるべく平常心を保って、たずねる。


「……その凪くんは…私だけが見た…くて」





………うん、分かった。そんな可愛い願い、聞かない理由がない。


「凪くん、私がこの髪型が好きって言ったから、やってくれたんだよね……?その、だったら無理しないでね?髪長いの…暑いと思うし…」


すごく申し訳なさそうに言葉を紡いでくれる妃奈。


いつも自分以外の誰かのことを心配して…


俺の向ける、可愛いや好きにはびっくりするほど鈍感なのに。


「ありがとう、妃奈。じゃあ切ってくるよ」


妃奈を心配させるのは嫌だからな…


「土曜日にでも…」


そんなふうに呟いた時、途中でスマホの通知音が鳴った。


「妃奈のじゃない?」


「え、あ…」


妃奈は机の上に裏返しにして置いていたスマホを手に取ると、反対の手の人差し指で画面をタップした。
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