御曹司の幼なじみから甘すぎる求愛を受けました。

「恭弥は私のなの！」


ドンッ！！と力強く押され、その衝撃で足がひねって転びそうになる。


ぎゅっと強く目を瞑り、倒れるのを覚悟する。


その瞬間、私は後ろから誰かに受け止められた。


私、知ってる……この感覚、この温かさ…


凪くんだ…


「この子は俺の彼女だけど」


私の肩を抱きながら凪くんが発した言葉に、目の前の波瀬くんは息をのむ。


「…東雲……」


「勝手に妃奈を捕まえといて何やってんの」


凪くんの突き放すような言い方に女の子は慌てた様子で波瀬くんの肩を揺らす。


「えっ、この女が恭弥とより戻したいって言いに来たんじゃないの？」


「……違う、その逆だ」


それから、女の子はなんとも言えない、といった表情を浮かべて下唇を噛んだ。


誰も何も言わなくなったところで、凪くんが私の方を向く。


「妃奈、行こう」


凪くんは、私が怪我をしていることにいつ気付いたのか、手を引くのではなく軽々と私を抱き上げた。


お姫様抱っこのような形で……