御曹司の幼なじみから甘すぎる求愛を受けました。
「……待って、妃奈?」


予想に反し、挙動不審になったのは俺の方。


なんなら妃奈は両手を広げて待機姿勢だし。


何も出来ず固まっていると目の前の妃奈は何かを決心したような表情を見せた。


そしてその直後、俺の胸に飛び込んだ。


構えていなかったのもあって、慌てて妃奈を受け止める。


あまりにも可愛すぎたけど、本気で心臓が止まるかと思った。色んな意味で。


「……わ、私っ、凪くんに抱きしめられると、安心するの…」


「…うん」


ほーんと俺を揺さぶるのがお得意なようで。


「凪くんも、同じだったらいいなって…」


「……安心は出来ないかな」


理由まで言い切る前に、妃奈は『えっ、』とショックを受けたような声をもらす。


「妃奈が可愛すぎるからだよ」


「…ん?」


意味が分からないといった様子で俺の顔を見る妃奈。


自分の可愛さに気づいてないのがどうしようもなく愛おしい。
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