御曹司の幼なじみから甘すぎる求愛を受けました。
「どうしたの?」


「ぼくっの、ママ……」


「ママ?あ、はぐれちゃった?」


優しく口角を上げ、怖がらせないように尋ねる妃奈。


「どこにいるか、わかんないっ」


俺は、瞼の縁いっぱいに涙を溜めた男の子の頭に手を置き、落ち着かせるためにそっと撫でる。


「一緒に探すか」


「う……ん」


小さく頷くのを確認してから、男の子の前に背中を見せるようにしてしゃがむ。


「乗って」


ぎこちなく俺の背中にまたがった男の子に『名前は?』と聞く。


「…りょーま」


「りょうまくん、かっこいい名前だね」


妃奈が天使のような微笑みを浮かべると、りょうまは言葉をカタコトにして、あからさまに照れる。


おいおい、子供まで照れさせるとかこの無自覚ほんと……


「舜くん」


「ん?」


「1回、迷子センター行ってみる?お母さんたち来てるかも」
< 196 / 297 >

この作品をシェア

pagetop