御曹司の幼なじみから甘すぎる求愛を受けました。
あの凪くんのことだ、きっとすごく心配してくれる。


でも…


「この傷を凪くんに見られるのも嫌で…」


凪くんが好き、だからこそこの傷を見られて、凪くんの綺麗な顔が歪んでしまうのが怖い。


汚いって思われたくない……


最悪のケースを勝手に想像して落ち込む私の顔を舜くんが覗く。


「……妃奈…」


と……


あ、私がこんなこと言ってたら、また舜くんに罪悪感を感じさせちゃう……


「あのっ舜くん」


赤くなった頬を右手で優しく覆い、舜くんの方を見上げる。


「……なんでも言って」


「…保健室、連れてってくれる?」


固くなった表情筋を無理やり引きあげて笑ってみせると、舜くんに心配そうな目線を向かられた。


「どーぞ」


でも、手を差し伸べて私を立たせてくれる優しさがすごく嬉しい。


「ありがとう」

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