御曹司の幼なじみから甘すぎる求愛を受けました。
すごく大変な毎日だっただろうなぁ…


それに、凪くんのお父さん大丈夫かな。


「凪くんも体調崩さないでね」


「あぁ、ありがとう」


形の整った眉毛を下げる凪くんを見上げると、ビー玉のような瞳に吸い込まれるような気がした。


「妃奈?」


「…あ、ごめんね、凪くんがかっこよくて…」


凪くんから離れると、凪くんはそれを止めるように躊躇うことなく私を抱き寄せた。


「あー、ずるい…」


「…あの、凪くん…」


なんかやたらといい匂いがして怖い…


私、臭くないかな…


私の心配なんて知らずに、ぎゅっと抱きしめ続けられる。


実際はそんなに長くなかったのかもしれないけど、体感時間はあまりにも長い。


心臓が心配になるくらい速い。


ずるいのは凪くんの方だよ…


それを口に出せず、黙ったままでいると…


凪くんはさっきよりも落ち着いた声色で話を始めた。





「さっき妃奈が言ってた人は東雲と提携を組んでる会社の令嬢。」


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