御曹司の幼なじみから甘すぎる求愛を受けました。
その姿を見て、『はぁ…』と呆れたようにため息をついたのは凪くんのお父さん。


「春日井さん、あなたは自分の娘に何を教えたんだか。」


「東雲グループ経営者として正直に言おう。春日井グループとうちが婚約という形を組んでも、こちらに全く利益はない。」



東雲グループ経営者。明らかな立場にいる凪くんのお父さんがはっきりとそう言えば、花乃さんも絶望したように地面に座り込んでしまった。


「……なんでよ…それなら、、庶民のこんな女と結婚したら、利益どころか損じゃない…ならなら……せめて…」


生気をなくした目で、地面を見つめる花乃さん。


それでも凪くんは顔色ひとつ変えない。


「妃奈だから結婚したいんだ、利益なんて最初から望んでいるわけがない。」


「嘘よ、、そんなの私は認めない…」



………同情は失礼だって分かっていたけれど、もし花乃さんの立場が私だったら、って考えたら……


私は凪くんに『もうやめて欲しい』と思ってしまった。
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