断る――――前にもそう言ったはずだ
1.なるほど――――覚えておこう
その日、公爵令嬢モニカ・ロべーヌは胸を躍らせていた。
(お城の中ってこんな風になっているのね……!)
外観はよく見知っているが、こうして中に入るのははじめてのこと。宰相である父親の後に続き、彼女は静かに息を呑む。
「美しい城だろう? 数百年も前から建っているだなんて、信じられないほどに」
「ええ! 本当に素晴らしいです。ようやく念願が叶いました」
嬉しそうなモニカの様子。宰相は思わず苦笑を漏らす。
「お前を城に連れてくるのは、王室主催の夜会の夜が最初になるだろうと踏んでいたのだがな。まさか、私の仕事の手伝いをさせることになるとは……」
「わたくしは夜会に出るより、国政に携わりたいのです。お父様の子供ですもの。自分にもなにか出来ることを、と思うのは当然でしょう?」
モニカは女官志望だ。宰相である父親の背中を見て育ったため、自然と同じ志を抱くようになった。
もちろん、男性と同じ仕事を任せてもらえるわけではないが、逆に言えば、女性にしかできない仕事も存在する。モニカの瞳は希望に満ちていた。
(お城の中ってこんな風になっているのね……!)
外観はよく見知っているが、こうして中に入るのははじめてのこと。宰相である父親の後に続き、彼女は静かに息を呑む。
「美しい城だろう? 数百年も前から建っているだなんて、信じられないほどに」
「ええ! 本当に素晴らしいです。ようやく念願が叶いました」
嬉しそうなモニカの様子。宰相は思わず苦笑を漏らす。
「お前を城に連れてくるのは、王室主催の夜会の夜が最初になるだろうと踏んでいたのだがな。まさか、私の仕事の手伝いをさせることになるとは……」
「わたくしは夜会に出るより、国政に携わりたいのです。お父様の子供ですもの。自分にもなにか出来ることを、と思うのは当然でしょう?」
モニカは女官志望だ。宰相である父親の背中を見て育ったため、自然と同じ志を抱くようになった。
もちろん、男性と同じ仕事を任せてもらえるわけではないが、逆に言えば、女性にしかできない仕事も存在する。モニカの瞳は希望に満ちていた。
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