断る――――前にもそう言ったはずだ
「お父様……お父様は今夜、殿下が招待されていることをご存知でしたか?」

「いいや、知らなかったよ。
そもそも招待したところでお出ましになるかは分からないし……今夜は気まぐれに立ち寄られただけなのかもしれないな」


 宰相はそう言って、会場の入口、エルネストが居るであろう人垣の方をちらりと見やる。

 エルネストが来たのであれば、挨拶をしないわけにはいかないだろう。モニカはゴクリと唾を飲みつつ、父親の後へと続く。


「ロべーヌ――――それからモニカ」


 エルネストはすぐに二人の存在に気づき、声を掛けてきた。

 宣言通り、彼はモニカを覚えていたらしい。
 モニカは深々と膝を折り「こんばんは」と挨拶をする。


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