断る――――前にもそう言ったはずだ
「あの……質問をよろしいでしょうか?」

「何だい? 言ってごらんなさい」


 柔和な笑みを浮かべ、国王が応じる。宰相が頷くのを見届けてから、モニカはそっと身を乗り出した。


「本当にわたくしで良いのでしょうか? なにかの間違いではございませんか?」


 この状況でするにはおかしな質問だと分かっている。
 けれど、モニカはどうしても、そう尋ねずにはいられなかった。


 婚約の場ではじめて会った相手に嫌悪感を抱くとか、後から合わなかったと判明するならまだ分かる。

 けれど、モニカとエルネストは事前に面識がある。
 しかも、一度だけでなく、二度もだ。

 当然、モニカを結婚相手に選んだのはエルネストではなく彼の両親だろうが、エルネストなら『生理的に受け付けないから』と言って断ることもできただろう。

 
 チラリとエルネストを見上げれば、彼は眉間にシワを寄せた。


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