断る――――前にもそう言ったはずだ
「君の方こそ――――本当は僕との結婚が嫌なんじゃないか?」

「え?」


 嫌か嫌じゃないか――――モニカ自身はそういう観点で、二人の結婚を考えたことはなかった。
 エルネストはきっと嫌だろうと、そればかりを考えていたのだから。


「よく考えてみてほしい。女官より妃になった方がずっと、君のやりたいことが叶えられる。妃になれば婚期だって逃さない。
もちろん、君には僕の妃になる以外選択肢はないが、そう考えたほうが楽だろう?」

「それは……そうですわね。そうかもしれませんが」

「ならばこの話はこれで終いだ。既に結論が出ていることを議論したところで意味はない」


 ため息を一つ、エルネストは紅茶を飲んだ。

 彼自身、そういう風に理由をつけて、モニカとの結婚を自分の中で納得させているのだろう。
 モニカは頷きつつ、冷えた指先をティーカップで温めた。
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