断る――――前にもそう言ったはずだ
「新婦モニカ――――貴女は病める時も健やかなる時も、喜びの時も悲しみの時も、互いを愛し、敬い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」


 今度はモニカが誓う番だ。エルネストのことをチラリと見上げつつ、モニカはそっと笑みを浮かべる。


「――――誓います」


 誰がなんと言おうと、今日から二人は夫婦だ。
 少しずつでも歩み寄りながら、妻として、妃として、エルネストを支えていきたいとそう思う。


「それでは、誓いの口づけを」


 その途端、モニカの心臓がドキンと跳ねる。


(本当にするのかしら?)


 リハーサルの時には、誓いの口づけは省略されていた。エルネストはあんな調子だし、モニカに触れるところを想像できないのだが。


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