断る――――前にもそう言ったはずだ
「エルネスト様」
ならばこちらも――――モニカは今日、夫となった人の名前を呼ぶ。
その瞬間、エルネストが息を呑む小さな音が聞こえ、身体が上から覆われる。
それは、抱き締められていると表するにはあまりにも不格好で。けれど他にたとえようがない状態だった。
(わたくしたちが抱き合うのは義務だから)
彼はこうすることで、己の務めを果たしただけ。
モニカは目の前に与えられた広い背中に縋りつき、エルネストにバレないように涙を流す。
(どうか、一日でも早く子供ができますように)
義務を果たせばそれで終い。
エルネストを望まぬ触れ合いから解放することができる。
けれど、モニカは知らなかった。
それから三年間、彼女の願い――エルネストの子を身籠ること――が叶うことはないのだと。
ならばこちらも――――モニカは今日、夫となった人の名前を呼ぶ。
その瞬間、エルネストが息を呑む小さな音が聞こえ、身体が上から覆われる。
それは、抱き締められていると表するにはあまりにも不格好で。けれど他にたとえようがない状態だった。
(わたくしたちが抱き合うのは義務だから)
彼はこうすることで、己の務めを果たしただけ。
モニカは目の前に与えられた広い背中に縋りつき、エルネストにバレないように涙を流す。
(どうか、一日でも早く子供ができますように)
義務を果たせばそれで終い。
エルネストを望まぬ触れ合いから解放することができる。
けれど、モニカは知らなかった。
それから三年間、彼女の願い――エルネストの子を身籠ること――が叶うことはないのだと。