断る――――前にもそう言ったはずだ
「いやぁ、本当にお久しぶりです。
先日は妃殿下にお目見えできるのを楽しみにしていたのですが、エルネスト殿下にご対応いただけるということで……お会いできず、残念に思っておりました」
「まぁ……伯爵にそんな風に思っていただけていたなんて、光栄ですわ。あの日は急遽外せない予定が入り、夫に無理を言ってしまいました。わたくしとしても、伯爵にお会いできず、とても残念に思っておりましたわ」
本当のことを言って、エルネストを悪者にするわけにはいかない。
嘘も方便。
モニカは申し訳無さげに眉を下げる。
「そうでしたか。それでは、今から少しお時間をいただいても?」
「今から……」
後ろに控えた侍女の一人にチラリと目配せをすれば『少しならば』と返事が返ってくる。
今断っても、後日しつこく付き纏われるに違いない。
「あまり時間は取れませんが、それでもよろしければ」
「それで結構。是非、お話をさせてください」
モニカの返答に、伯爵はニコリと微笑んだ。
先日は妃殿下にお目見えできるのを楽しみにしていたのですが、エルネスト殿下にご対応いただけるということで……お会いできず、残念に思っておりました」
「まぁ……伯爵にそんな風に思っていただけていたなんて、光栄ですわ。あの日は急遽外せない予定が入り、夫に無理を言ってしまいました。わたくしとしても、伯爵にお会いできず、とても残念に思っておりましたわ」
本当のことを言って、エルネストを悪者にするわけにはいかない。
嘘も方便。
モニカは申し訳無さげに眉を下げる。
「そうでしたか。それでは、今から少しお時間をいただいても?」
「今から……」
後ろに控えた侍女の一人にチラリと目配せをすれば『少しならば』と返事が返ってくる。
今断っても、後日しつこく付き纏われるに違いない。
「あまり時間は取れませんが、それでもよろしければ」
「それで結構。是非、お話をさせてください」
モニカの返答に、伯爵はニコリと微笑んだ。